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メルランは見た(後)

はい、という訳で定期更新です。

とりあえず、これを読んだ友人(仮)T氏の反応は、

友「……お前には根本的に幽々子様への愛が足りない」
鹿「なん…だと…!」
友「我々はすべからく幽々子様を愛さねばならないのだ!」
鹿「愛ゆえに…愛ゆえに私は過ちを犯したのか……」

友人は病気だと思います。
ともあれ、これで一区切りにしておいて、次は何を書きましょうか…?
あ、でもこのお話はまだちょっとだけ続くと思います。
今回は少し甘くないお話で、ただメルランを暴走させてみたかっただけなので、
次回はほんの少し甘いお話にしてみたいなぁ…

と、まぁここで書いてますが、続きを読むからどうぞ。


「……で、ルナ姉はどこに行ったのさ」

ルナサが家から出て行ってそれほど時間は経っていないのだが、
辺りにルナサの姿は見えない。
当てはあるのだろうか……いや、あるならばメルランはこんなにも取り乱していないだろう。
何か策があるのだろうか?
そう思いながらメルランの方を見る。

「当てはないけど大丈夫よ!」
「……どうしてそんなに自信満々なのか気になるよ」
「ふふふ、リリカ私たちは何なの、どんな関係なの?」
「それは……姉妹だよ」
「ええ、そうね私たちは仲良し姉妹ね」

仲良しかはわからないが、姉妹ではある。
たとえ、リリカが今現在メルランと絶縁したいと考えていても。
それが何だというのだろうか。
そんなリリカの思いをよそに、メルランはかぶりを振って、

「私たちは姉妹なのよ、姉さんがどこにいるかわからないはずがないわ!!!」
「……ぇえー」

初めて聞く話である。
プリズムリバー姉妹にはそんな特殊能力があったのだろうか、いやおそらくメルラン限定、さらに対ルナサ限定。
リリカは疑いの眼差しをもってメルランを見る。

「うふふ……疑っているわねリリカ。でも本当よ、私は一度も姉さんの気配を見失ったことがないもの!!!」
「……うん、すごいね。じゃあ後よろしく」
「…待ちなさい!」

帰ろうとするリリカを引き留めるメルラン。
大丈夫、と前置きした上で、

「とにかく、私についてくれば姉さんのところに辿り着けるわ」

と言って飛び立つメルラン、腕を掴まれたままのリリカも当然一緒である。
あまりにも胡散臭い話だ。
信用するわけにもいかないリリカとしては、何言ってんだこの姉、状態である。
そのまましばらくの間飛び続ける。
方角としては冥界の白玉楼方面だろう。
そんなところにルナ姉がいたとして、何してるのかな?
そうリリカが思い始めたときだった。
急停止するメルラン、思わずつんのめるリリカ。

「―――うわっ、どうしたのさ?」
「しーっ、近くに姉さんがいるわ。とりあえず地上に降りましょう」

ゆっくり、音を立てずに着地する2人。
リリカにはルナサの気配を感じ取ることができないようだが、
メルランには何か分かるものがあるのだろうか。
もしかすると、それが姉妹の絆なのだろうか。
……メル姉って、すごいんだ。
リリカは素直に感動する。
メルランは布的な何かをポケットから取り出すと、

「確かこのあたりに姉さんの匂いが……」

スパーン!

メルランの頭を引っ叩くリリカ。
思わず手から布的な何かを落とすメルラン。
そんなことにお構いなくリリカは叫ぶ、

「……か、感動を返せ!!」
「な、何のことよ!?」
「ぅわー、こんなオチだとわかってたはずなのに……」
「……何か物凄く馬鹿にされてる気がするわ」

うなだれるリリカ。
姉妹の絆(笑)は、只のメルラン的嗅覚だったのだ。
ショックを受けないはずがない。
もう家に帰りたい、リリカはそう思った。
すると、

「―――ぁあ、それは大変だなぁ」

どこからかルナサの声が聞こえた。
2人は思わず息を止めて辺りを見渡す。
そしてメルランが居場所を確信すると、リリカに手招きして移動を始めた。
少しして、メルランたちはルナサらしき人影を見つけた。
気付かれないようルナサ達から少し離れた大きな木の後ろに隠れて、こっそりと覗き込む。
すると、そこに居たのはルナサと、

「そうですよ、全く、幽々子様はいつも無理なことばっかり押しつけるんです」
「そうかもしれないけど、幽々子は妖夢を頼りにしてるんだよ」
「……そうですかね?」
「ああ、そうだよ。そうでなければ幽々子が誰かに物を頼むなんてしないはずさ、流石は妖夢」
「そ、そうですか、えへへ……」


「あれは……妖夢かな?」
「………………」

リリカは知っていた。
ルナサが時々妖夢の相談に乗っていることを。
そのことを何度か食卓で話していたからだ。
当然のことながらメルランも知っているはず。
だから今回もまた、同じパターンなのだろう、そう思ったのだった。
しかし、メルランは違った。
長い間ルナサと一緒にいた彼女は、どんな小さな表情の変化でさえも見逃さない。
今、ルナサの表情から読み取れる情報は、私たちを見る時の表情と同じようなものだ。
ルナサはよく、妖夢が妹みたいだ、と言っている。
そのためだろう、とメルランにもわかる。
しかし、相手はどうだろう。
妖夢の表情は、どこかで見たことがある。
あれは、少し前のことだった。ルナサからしつこいファンへの対応について相談を受けたメルランは、自分が何とかすると言ったことがあった。
そして、その相手と波風を立てないように話し合いをしようとしたのだったが、
その相手の表情はまさしくルナサに恋をする顔。
自分も同じ顔をすることがしばしばある、鏡でよく見ている。
その時は、その相手を(倫理的問題)することで何とかしたのだったが、
まさか、妖夢も……

「……あいつと同じ、という訳ね」
「……えっ? 何が同じなの、メル姉」
「うふふふふ、まさか相談と偽って私から姉さんを奪おうとするなんて……あの泥棒猫がっ!!」
「な、何の話なの? ねぇ、会話してよ!?」

何を言っているのか全く理解できないリリカ。
思わず姉を取り押さえようかと思うが、その前に姉の手元を見てしまった。
その手は隣の木を掴んでいた。
結構な太さがあったにもかかわらず、まるで紙を握りしめるかのように破壊されていく木。
リリカは見なかったことにした。
何故か恐ろしくて、もう一度、隣を見ることができない。
しかし、今度はミシミシという木の悲鳴が聞こえてくる。
これは幻聴、これは幻聴、と思い込むことにする。
そしてリリカは不意に、メルランが前に起こした事件を思い出した。
まさか……これは、前回のあれと同じ状況なの……?
よく思い出してみると、状況が全く酷似している。
ということは、つまり、私の予想が当たってるってこと……?
そしてリリカは、今にも飛び出そうとしていたメルランをなんとかして抑えようとした。

「ちょっ! リリカ離しなさい!!」
「だ、だめー! メル姉が殺人犯になっちゃう!!」
「大丈夫よ……大丈夫だから」
「ほ、本当に……!?」
「ええ……だってあの娘、半人半霊だからギリギリ人じゃないわ」
「そっちじゃないよ! だめ、絶対だめー!」
「どうして? ばれなきゃ問題ないじゃない」
「そういう問題じゃないと思うよ! それに妖夢を傷つけたら幽々子だって黙ってないって!!」
「そうよぉ、私が妖夢を傷つける者をみすみす見逃すはずがないわぁ」
「ほら、幽々子だってそう言って……ゅ…ゆ、こ?」

ゆっくりと声のした方に振り返るリリカ。
そこにはいつの間にか、彼女がいた。

「あらあら? さっき何か不穏な発言を聞いた気がしたみたいだけど、気の所為よねぇ?」

妖夢の保護者的存在にして、妖夢大好きな幽々子。
もしここで、先ほどのメルランの発言を肯定でもすれば、当然、2人の身は危険になるだろう。
リリカだって自分が可愛い、それにメルランだってそうだろう。
だから、リリカは真っ先に頷いた。

「き、気の所為だよ。私たちがそんな、まさか、妖夢をいじめるとかなんとかするはずないよ」
「そうよねぇ……うふふ、良かった聞き間違えで……」

あははは、と笑ってごまかすリリカ。
幽々子も笑ってはいるものの、目だけは恐ろしく笑っていない。
絶対聞こえてた……聞いてたよ……
ビクビクしながらも何とか切り抜けたリリカ。
後は任せた、と言わんばかりにメルランの方を―――

「気の所為じゃないわ、聞いた通りよ」
「ぅ、うわーーー!! な、なな何でもないよねー、そうだよねメル姉ーー!!」
「少し静かにしてなさいリリカ。私は幽々子とお話しがあるの」
「あらあら、私もメルランとお話ししたいわぁ」
「それは良かった、ちょっとお宅の猫についてね……」
「うふふ、奇遇ねぇ、私もちょっとそちらの猫ちゃんについて話があるのよぉ」

あはは、うふふ、と笑い合う2人。
傍から見ると微笑ましいような光景ではあるが、リリカからしてみれば堪ったものではない。
二人の視線がぶつかったところで火花が発生しているのだ。
そして、当然のことながら2人とも目が笑っていない、心から笑っていない。
2人の心を見ることができる者がいたとすれば、おそらく生涯忘れることのできないトラウマの出来上がりだろう。
実際リリカは現時点でトラウマ候補、夢に出てくること間違いなし。
だからリリカは、

「う、うわーーーん!!!」

逃げ出した。
幸運なことに回り込まれるようなことがなかったのが救いだった。
もっとも、2人にとってはすでにリリカの存在など眼中にもなかったのだが。
リリカが走り去った後、ゆっくりと動き始める。
幽々子の周りには蝶が舞い始め、メルランの手元にはトランペットが現れる。
そして、話し合いが始まった。


この後の2人については、誰も何も知らない。
ただ、話し合いの現場はとても凄惨なことになっており、現在は立ち入ることができないそうだ。




妖夢と別れたルナサは帰路についていた。
最近、妖夢と会話するのが楽しみになっている自分がいることに気付く。
自分の心がだんだんと変化してきたのだろうか。
妖夢から告白を受けてからも、妖夢は態度を変えることなく話してくれる。
そのことに嬉しさを感じながらも、どこか期待してしまう自分がいる。
元々押しが弱い妖夢に期待する方が酷なのだろうが、
自分だって恋愛には奥手な方だ。
それでも妖夢は待ってくれている、だから考えなければならない。

「……もう少し、強気で来てくれてもいいんだけどなあ」

呟いた後、顔が赤くなるのを感じる。
今考えた事を忘れよう、そう思い顔をブンブン振る。
すると、

ドンッ!!

何かが背中にぶつかってきた。
体がよろけるのを堪えて、後ろを見ようとする。

「うわあぁぁぁああん!! ルナ姉ーーー!!!」
「……リリカ? どうしたんだ?」

問いかけるが、リリカは泣きやまない。
よほど恐ろしいことがあったんだろうか。
ルナサはリリカを抱きしめると、背中に手をまわして、トントンとゆっくりしたリズムで叩く。
リリカが泣くなんて何時ぶりだろう、そんなことを考えながらリリカをあやす。

リリカが泣きやむまで、ルナサのソロライブが続いた。







もうそろそろ日没を迎える、そんな時間。
幻想郷のとある場所に、2つの人影が見える。
影の主は2人とも地面に倒れこむような姿。
しばらくして、荒い息を吐きながら片方の影から、

「はぁ…はぁ…やるじゃない……幽々子」
「……あ、貴女も…なかなかのものね、メルラン」

そのまま起き上がると、どちらからともなく手を差し出す。
そして固く握り合い、熱い抱擁を交わす。
お互いの健闘を讃え、ここに新たな友情が一つ生まれたのだった。

「でも、妖夢は渡さないわよー」
「それはこっちの台詞よ」

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