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追跡

ていきこうし~ん。
な、なんとかこれを今週の更新に載せることができました…
妖ルナの続編です。
…需要あるのか? まぁマイナーに定評のある鹿山さんのやることですから……
聞いたこともないけど読んでやるぜ、という方がいらっしゃるのでしたら、続きからどうぞ。

あとこれを考えている時に友人が、ルナ慧ってどう? って言っていましたが、僕、確か最初の作品がもこけねで、流石に修羅場って問題ではなかったので、泣く泣く諦めました。
きっと友人は、僕よりも遥かに修羅場好きなんですね…ゴクリ
次回はこれの続きではないと思います、きっとてんいく。

この作品は「妖夢の悩み事」 「メルランは見た!」の続編的存在です。
上記の作品を読むと、大体の流れが把握できますが、別に読んでいなくても大丈夫です。



メルラン・プリズムリバーの朝は(以下略
プリズムリバー家は普段と変わらず、揃って朝食を取っている。
ルナサはもそもそと口を動かして食べ、メルランはしつこくルナサの口元をナプキンで拭い、リリカはなるべくその光景を見ないように口を動かす。
ここで、ふとルナサが思いついたように言う。

「あ、そうだ」
「なあに、姉さん?」
「いや、そういえば今日、買い物に行くことを話してなかったな、と思って」
「なんだ、そういうことなら大丈夫よ、私ならいつでも行けるから」
「いやいや、今日は妖夢と一緒に行くから」

突然動きの止まったメルラン。
メルランは、良く聞こえなかった、というような顔で再度聞きなおす。

「……今なんて言ったの?」
「だから、今日は妖夢と一緒に買い物に行くから、っていう話」
「どうして?」
「……実は、この前私の枕が突然無くなってしまったんだ」
「へー……それは大変だったね」
「そのことを妖夢に話したら、一緒に買い物にに行こう、ということになって」

じとーっ、というような目でメルランを見るリリカ。
メルランはリリカの視線を無視すると、

「そうなの、でも私も付いて行っても構わないわよね?」
「んー……突然そんなことになってしまったら、妖夢が驚かないか?」
「そんなことないわよ、妖夢だってきっと喜んでくれるわ」
「いやー、でも今日は妖夢と2人で行ってくるよ、そんなに大した買い物じゃないし」
「いやいや! 全然大したことあるわよ!!!」

必死にルナサの元へと詰め寄るメルラン。
ルナサも思わず、やだ何これ怖い、と若干引き気味である。
そんな姉の様子を見ていられなくなったリリカは、そばに置いてあった花瓶を手に取ると。

ガンッ!

「―――うぐっ!!」

そのままメルランの頭に振りおろした。
気を失ったメルランが、次に目を覚ました時、すでにルナサはいなかった。
家中を探し回ったメルランは、まだ家にいたリリカを見つけると、すぐさま詰め寄る。
メルランは、リリカの胸元を掴んで上下にガクガクと揺らし、問い詰める。

「―――ね、姉さんはどこなのよ、リリカっ!!!」
「ぐ…ぐるしぃ……」
「早く言いなさい、さもないと……酷いわよっ!」
「も、もう、大変なことに……!」

錯乱するメルラン、大ピンチなリリカ。
2人が落ち着きを取り戻すのには、また少しの時間がかかった。
少しして、落ち着きを取り戻したメルランは、リリカに尋ねた。

「……で、姉さんは妖夢と出かけたのね?」
「うん、妖夢が迎えに来たよ」
「……なんで、止めなかったのよっ!」
「なんで止めるのさ?」
「あの泥棒猫は、ここぞと言わんばかりに色々やってくるからよ!」
「……妖夢に限ってそんなことはないと思うよ」
「分かってないわね……まあ良いわ、そういうことならもうそろそろ来るはずよ」
「誰が来るの?」

そうリリカが言った時だった。
突然、玄関のドアが吹き飛ぶ。
思わず目を見張るリリカに対して、メルランはただ頷くだけだ。
ドアのなくなった玄関から、現れたのは―――

「話は聞かせてもらったわー」
「流石ね、幽々子」

優雅に、ゆっくりと歩み寄る幽々子。
しかし、吹き飛んだドアが無残な姿になっていることを確認したリリカは不思議と背筋が凍るのを感じた。。
リリカがそんなことを考えている間、メルランと幽々子はこそこそと何かを話し合っている。
そして、何やら嫌な雰囲気になってきたことを察したリリカは、こっそりとその場を後に―――

「……どこに行こうとしているのかしらー?」
「まさか逃げようなんて考えてないわよね?」
「―――っ! そ、そんなことないよ!?」
「そうよねー、さあ一緒に行きましょ」
「ど、どこに?」
「姉さんたちの邪魔をするのよ!」

こうして、メルランたちの戦いが始まった。





「それで、妖夢は何か買いたいものはあるのかい?」
「そうですね、とりあえずは今日の夕飯の食材で……ルナサさんは?」
「私は、予定通り枕かな」
「そうですか……」

妖夢とルナサは里に来ていた。
楽しそうな2人であったが、妖夢はどこか上の空。
もちろん、それに気付かないルナサではない。
ルナサは妖夢がまた何か悩みを抱えているのではないか、そう思っていた。
しかし、妖夢が話しかけてくるまでは聞かないようにしよう、とも思っていた。
そうこうしている内に、ルナサの目的である寝具店に到着した。
ルナサは、一緒に中に入ろうとする妖夢を店の前にとどめて言った。

「すぐに終わるから、ここで待ってて」
「―――えっ!? 私も行きますよ!」
「いや、いいからいいから……」

そう言って店内へと入るルナサと、一人残された妖夢。
何もすることのない妖夢は、手持無沙汰に辺りを見回す。
すると、すぐ近くに怪しげなフードをかぶった人物が一人、露店を開いている。
こちらの視線に気付いたのか、妖夢の方を手招きする。
妖夢はとりあえず近づくことにした。
妖夢が近づくと、怪しいフードの人物は話し出した。

「……貴女、占いに興味はない? 貴女のこと、私が占ってあげる」
「占い……ですか? 特に興味はありませんけど……」

声からして女性かな、と妖夢は思った。
そして、もともと占いに興味を持っていない妖夢は、その申し出を断ることにした。
しかし、占い師は妖夢に構わず続ける。

「そう……でも勝手に占わせてもらうわ」
「でも私、お代が掛かるのでは?」
「いいわよタダで」
「いやいや! そんなの申し訳ないですよ!!」
「煩い! 黙って占われなさい……ほら手を出す!」

妖夢は、言われた通りに机の上に手を出す。
占い師は妖夢の手をまじまじと観察した後、ゆっくりと口を開いた。

「……貴女、恋をしているわね」
「―――っ!」
「それも片思い」
「ど、どうしてそんなことまで!?」

思わず息が荒くなる妖夢。
この時の妖夢は、この占い師は本物なのでは、と半分信じ始めていた。

「私はこの道が長いのよ、貴女のような娘をたくさん見てきたわ」
「そ、そうなんですか……」
「ええ、だからアドバイスしてあげましょうか?」
「いいんですかっ!?」

願ってもない提案に詰め寄る妖夢。
占い師は、少し考えた後に言った。

「……うん、貴女は絶対うまくいかないわよ」
「……はい?」
「そのままの意味よ、貴女は想い人とは付き合えないっていうことよ」
「ど、どうしてですか」
「だって占いに出てるもの、それに私の占いを無視して付き合った娘は皆うまくいかなかったわ」
「そ、そんな……」
「だから諦めなさい、貴女に姉さんは不釣り合いなのよ、貴女なんてあの亡霊のお姫様がお似合いよ」
「……ん?」
「貴女は幽々子を幸せにすることが一番だって占いに―――」
「どうして幽々子様のことを知っているんですか?」
「……えっ!? そ、それは、ほら、占いで……」
「それに、どこかで聞いたような声なんですけど……」

そう言って、フードを覗き込もうとする妖夢。
占い師は慌てて妖夢を突き飛ばすと、

「―――ちっ!!!」

そのまま机をひっくり返す。
占い師の突然の行動に、つい妖夢は怯んでしまった。
そして、妖夢が気づいた時、すでに占い師の姿は消えていたのだった。
一体彼女は誰だったのだろう、そう妖夢が思っていると、ようやくルナサが大きめの袋を持って寝具店から現れる。
目当ての物を見つけたのか上機嫌なルナサの顔を見て、妖夢は少し落ち着きを取り戻した。
ルナサは妖夢の姿を見つけると、ゆっくりと歩み寄った。
そして、ルナサにしては高いテンションで話し始める。

「ごめん、待った?」
「……いえ、それほどは」
「そう、それならいいんだけど、何かあったのかい?」
「それが、何が何だかさっぱりわからないんです……それは?」
「ああ、ちょうどいいのが売ってたからね、つい買っちゃったんだ」
「へえ……少し見せていただいても構いませんか?」
「……いや、ただの枕だから」
「そうですか、それにしては大きいような気が……」

ルナサが抱える様にして持っている袋。
それはとても大きく、下手をすればルナサぐらいの大きさはあるのではないかと思われる。
中身が非常に気になったので、妖夢は尋ねる。

「どんな枕なんですか?」
「そ、それは……大きな枕だよ」
「ルナサさんだと持つのは大変だと思いますので、私が持ちますよ」
「いやいや、妖夢にそんなことをさせるわけにも―――」

ひょい。
妖夢は、ルナサから袋を奪い去る。
そして、その中身を見た。
袋の中には、とても大きな上海人形が入っていた。
しかし、触ってみると、どうやらフェルト生地の感触があることから、これがぬいぐるみであることが分かる。
妖夢はそこまで確認すると、ルナサの方をにっこりと見た。
するとルナサは慌てて口を開き、

「い、いや、これは違うんだっ!!」
「何が違うんですか、別にいいじゃないですか」
「べ、別に、可愛いなぁとか、これを抱いて眠りたいなぁ、なんて思ってないからな!!」
「そうですか、本音が漏れている気がしますよ」
「あぅぅ……」

顔を真っ赤にして俯くルナサ。
妖夢はそんなルナサの様子を見て、思わず頬が緩むのを感じた。
そして、先ほどのことなどさっぱり忘れてしまっていたのだった。
背後の視線に気付くこともなく……










「……どうやらメルランは失敗したようねー」
「……もう止めようよ」
「大丈夫、メルランの死は無駄にはしないわ……」
「まだ死んでないよっ!」
「もうすでに死んでるわよー」
「そうだけど……そうじゃないよっ!」
「そんなことより、2人を見失ってはいないわね」
「う、うん、今のところは大丈夫だよ」

物陰から覗き込むリリカ。
現在の幽々子とリリカは、サングラスにマスクと完璧な変装をしている。
傍から見れば、どう見ても変質者です本当にありがとうございました状態なのだ。
遠くの方では親子が、

「ねえママ、あの人たち何をやってるの?」
「しっ! 見ちゃいけません」

というような微笑ましいやり取りをしているのだが、幽々子は全く動じない。
今、幽々子にとっての最優先は妖夢であり、それ以外は有象無象の輩にすぎないのだ。
そのため、幽々子が妖夢の一挙手一投足に集中しているのは当然のことであり、背後の様子に気付かないこともまた、当然なのであった。

「……おい、何をやっているんだ?」
「うるさいわねー……少し静かにしてなさいよ、リリカ」
「……私じゃないよ」
「――――えっ!?」

リリカの発言を受けて、思わず振り返る幽々子―――

ゴンッ!

「――――っ!!!」

振り返った幽々子の額に見事炸裂した頭突き。
頭突きを受けた額の痛みに悶絶し、転げまわる幽々子。
幽霊にも頭突きって効くんだ、とリリカも思わず感心する。
こんな頭突きができるのは、幻想郷広しと言えどもただ1人。

「……っぅ…よくもやってくれたわねー……慧音ぇ」
「全く……里の者から不審者が居ると聞いて来てみれば…一体何をやっているんだ?」
「今、とても重要なことをしているのよっ!!」

がばっ、と立ち上がり、幽々子は慧音に詰め寄る。
そんな幽々子の鬼気迫る様子に、思わずたじろぐ慧音。
そして、リリカに向かって、そうなのか? と視線を送る。
リリカとしても、一応は姉の一大事ではあるので、頷くしかない。
実際は只のストーキングなのだが、慧音はそんなこと分かるはずもない。
白玉楼の主である幽々子が重要だ、と言っているのだ。
慧音が何か重大な事件が起きているのか、そう思っても仕方がない。
そして慧音は、内心焦りを覚えつつも、聞いた。

「……どんな事件が起こっているんだ?」
「妖夢とルナサがデートしているのよ!」

幽々子は慧音に縋りついて答えた。
少しして、鈍い、何かを叩くような音と、幽々子の悲鳴が里に響き渡った。





遠く離れた茶屋で休憩をしていた妖夢たち。
すると突然妖夢が立ち上がる。
そんな妖夢の様子に、ルナサは思わず声をかける。

「どうかしたのか、妖夢?」
「……いえ、何か幽々子様の声が聞こえたような」
「幽々子は留守番しているんだろう、きっと気のせいだよ」
「……そうですね」





そろそろ日が沈みかかる、そんな時刻。
里から少し離れた場所で幽々子たちは口論となっていた。

「全く……ことごとく失敗するなんて情けないわよ、メルラン」
「それはこっちの台詞よ、その絆創膏は何なの?」
「もう……2人とも落ち着いてよ」

リリカが間に入り、制止しようとするが、それでも2人は止まらない。
止まるどころか、むしろ2人は今までの不満を全てぶつけあう。

「だいたい、幽々子は見てるだけじゃないのっ!」
「何よっ! メルランだって行動するだけで何も考えてないじゃない!!!」
「幽々子はいつもそう、人に命令するだけじゃない!!」

メルランの叫びで、幽々子の動きが止まった。
それを見たメルランも、言い過ぎたと思い、口を閉ざす。
そして重苦しい空気が流れ始める。
この流れを変えよう、リリカはそう思った。

「とりあえず、それは置いておこうよ、ね?」
「……ごめんなさいメルラン、私、貴女がそんなことを考えていたなんて思いもしなかったわ」
「……こちらこそごめん、言い過ぎた、私だって動くことしかできないのに」
「あのー……私の話聞いてた?」

無視されるリリカ。
ぽきん、と心が折れるような音が聞こえたような気がしたけど、きっと気のせいだよね、とリリカはなぜか目から汗が流れるのを感じたが、気にせず続ける。

「ね、ねぇ幽々子、何か作戦はないの?」
「……あらリリカ、居たのかしらー?」
「…………」
「どうして泣いてるの、リリカ?」
「な、泣いてなんかいないよっ!」
「そう、それなら無視するけど、作戦ならあるわよ」

そして幽々子は懐から、とあるメモを取り出す。
そのメモに記されていたことは―――

『ルナサと妖夢が暴漢に絡まれる→妖夢やられる→颯爽と現れるメルラン→暴漢を撃退→ハッピーエンド』

「どうかしら?」

自信満々の幽々子。
リリカは思わずメモを引き裂きたくなるのを堪える。
ちらりと横目でメルランを見るが、するとメルランはリリカに視線を送ってから頷いた。
そして、メルランは幽々子の肩に手を置いて言った。

「幽々子……」
「な、何かしら?」

流石のメル姉もこれは無理だと思っているんだろうなぁ、とリリカは思った。
どう考えても無理がありすぎる作戦にリリカは呆れる他ない。
他の作戦を考えるかなぁ、とリリカが思った時だった。

「幽々子……私は感動した…貴女が私の敵じゃなくて良かったと思っているわ」
「そ、そうかしら」
「ええ、でも問題は、誰がその暴漢役を務めるか、ということね」

メルランの視線が、リリカを捉える。
それに気付いたリリカは慌てて口を開く。

「いやいや、私が妖夢に勝てる訳ないじゃん!」
「……それもそうか、じゃあ誰に頼もうかなぁ」

あれ、もしかしてこの作戦で行こうと考えているのかなぁ、ということに気付いたリリカ。
だが、それに気付くのは少し遅かった。
リリカが何か言おうとする前に、幽々子が動いたのだ。
幽々子は手を挙げて、言った。

「私が……私に任せなさい」
「ゆ、幽々子っ!」
「大丈夫、妖夢は私の従者なのよ、従者に負ける主が居るはずないわよ」
「で、でも幽々子、貴女は妖夢のことが―――」
「愛故に……愛故に闘わなければならない時があるのよ……」

幽々子は遠い目をしながら呟いた。
そして、メルランは自分では幽々子を止められない、そう思ったのか、諦めの混じった声で言った。

「分かったわ、貴女のことを信じる」
「ええ、任せておきなさい」
「幽々子……私、貴女の事をどこか誤解していたみたいね」
「いいのよメルラン……貴女は先に幸せになりなさい」
「ゆ……幽々子ぉ!」
「メルランっ!」

泣きながら抱き合う2人。
傍から見ればとても美しい友情だ、動機は非常に不純であるが。
ここで明後日の方角を向いて現実逃避真っ最中だったリリカが、突然2人に呼びかける。

「ねぇ、ルナ姉たちが来たよ」





里から離れた道を並んで歩く妖夢とルナサ。
大きな袋を抱える妖夢と妖夢の荷物を持つルナサ。
時々会話を交わすのだが、妖夢はやはりどこか上の空。
そろそろ話してくれないのかな、とルナサは思う。
しかしこの時、妖夢はかつてない程緊張していたのだった。
といっても今日一日、ずっと緊張していたのだが、現在は緊張のピークとも言うべき状況である。
というのも、妖夢はこの日の為にある本を読んでいたのだ。
その本とは、『誰でも出来るにとり教育~恋愛上級編~』である。
恋愛経験豊富なにとり先生によれば、夕暮れ時、ロマンチックな告白に、彼女はもうメロメロ、マジで恋する5秒前、らしい。
前回の告白からある程度の日数が経っているのだが、あまり良い返事を返してくれないルナサに対して、妖夢は若干の焦りを覚えていた。
このことばかりは、ルナサに相談することも、幽々子に頼ることもできない、そう思った妖夢は書物を読み漁ることにし、そして、この本を見つけることができたのだった。
そして妖夢は、この本を参考に行動し、ついに覚悟を決めて再度告白しよう、そう考えたのだ。
意を決し、妖夢は口を開く。

「あのっ、ルナサさん!」
「―――んっ?」

妖夢に呼び止められ、振り向くルナサ。
夕日に照らされる髪がキラキラと輝く様を見て、思わず見惚れてしまう妖夢。
しかし、自分の目的を思い出すと、覚悟を決めて―――

「ようよう、姉ちゃんたち、私たちと遊ばないかしら?」

妖夢とルナサの前に、突然現れる不審者2人組。
妖夢はルナサを自分の後ろに隠すと、尋ねる。

「何の御用ですか?」
「私たちと遊びませんか、と聞いたんだよ、質問を質問で返さないでくれない?」
「そうですか、ではお断りします」
「あらあらー、断れるとでも思っているのかしら」

不審者Aの意外な威圧に思わずたじろぐ妖夢。
そして、何時でも刀を抜けるようにする。

「……大丈夫かい、妖夢?」
「はい、ルナサさんには指一本触れさせませんから」
「そ、そう……」

妖夢のストレートな発言に思わず視線を背けるルナサ。
そして、背けた視線の先には不審者が。
ルナサは、そこでようやく不審者の姿を確認し、何かに気付いた。
いや、何か、というよりもむしろ不審者の正体に気付いた。

「なぁ……妖夢、あれってもしかして」
「大丈夫です、私に任せて下さい……来ないのなら此方から行くぞ」
「ふーん、私に勝てるつもりなのかしら?」

一触即発の空気が流れる。
どちらかが動けば勝負が決まる、そんな状況だ。
しかし、ここでルナサはあえて空気を読まずに言った。

「なぁ……何をしているんだ、幽々子、リリカ」
「―――っ! わ、私は幽々子じゃないわよ」
「そうだよっ! 私はリリカなどではない、私は通りすがりの悪人カゲウスイダー!」
「同じく、オオグライダーよー!」

慌てつつも、何とか誤魔化そうとする2人。
ここでようやく、妖夢も気付いたのか刀から手を離す。
そして妖夢は、呆れながら尋ねた。

「……幽々子様、何をなさっているんですか?」
「だから、私は幽々子じゃないって言ってるでしょう」
「そうですか、では今日の幽々子様の夕飯は無しにしましょうか」
「それはやめなさい妖夢!!」
「……今、私の事を妖夢って言いましたよね?」
「そんなことないわよ、妖夢―――はッ!」
「……リリカ、今なら姉さんは怒らないから、正直に話してごらん」
「……ごめんなさいっ!!!!」

観念したリリカは、自分たちがやってきたことを全て話した。
そしてルナサは、出るタイミングを見失い、こそこそ逃げ出そうとしていたメルランを驚異的なスピードで捕まえると、3人を正座させて説教を始めた。

「……まぁリリカは許すとしても、何をやっていたのかな2人とも?」
「やばい姉さんが怒ってる……」
「ルナサってこんなに怖い娘だったかしら……?」
「誰が喋っていいと言ったのかな?」
「ご、ごめんなさい姉さん!」

ホッとした様子のリリカに対して、どんどん縮こまるメルランと幽々子。
そして、このままだとヤバい、そう思ったメルランは、幽々子を指差して言った。

「ち、違うのよ姉さん、これは全部幽々子が仕組んだことなの!」

突然のメルランの裏切りに衝撃を受ける幽々子。
そして、妖夢の冷めた目が向けられたことに焦った幽々子は、メルランを指差して言った。

「それは真っ赤な嘘よ妖夢、そもそもこれは全部メルランが私をそそのかして―――」
「何を言っているのよ幽々子っ!」
「それはこちらの台詞よー!」
「だいたい、私はこんな作戦が成功するはずないって最初っから思ってたわ!」
「何もできなかった貴女がそんなことを言える資格があるとでも思っているのかしら!?」


そして罵り合う2人。
そうしている内に、辺りも暗くなり、もうじき夜が訪れる時間になった。
呆れ果てたルナサたちはこっそりと帰ることにした。
この後、3人でプリズムリバー家にお泊り会、という楽しい出来事があったのだが、それはまた別の話。
とりあえず、メルランと幽々子の争いは翌日まで続いたということだけは述べておこう。

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鹿山アトリ

Author:鹿山アトリ
もみあや大好き。あとにとひなも。
と言いつつ、雑食気味に色々書いていきます。

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