FC2ブログ

風邪引き天狗(後)

外道じゃないです、鹿山です。


気温がだんだんと暑くなってきました。暑いです。
試験が来週から始まります。まずいです。
試験期間中は更新をお休みします。ごめんなさいです。

どうでもよい話
↓買いました。
れいさな
これに癒されながら勉強頑張ります。
……数が足りない? 気のせいですよ。

続きから、風邪引き天狗(後)です。
後編は、あの方が登場して若干カオスになりますが、気にせずにどうぞ。

「足が痺れて転ぶなんて、椛もまだまだねぇ…」
「……何であの鈍感天狗、気づかないんだ?」
「……いつものことだろ」
「そうだね」

ケラケラと笑う文を尻目に、にとりと椛は小声で話す。
特に椛は、一世一代の大勝負に敗北したために、
ショックを隠しきれないのか耳と尻尾が垂れ下がっている。
にとりはそんな椛に苦笑しつつも、ひとまず文に話しかける。

「ところで文、もう大丈夫なのかい」
「ええ、大体は落ち着いたみたい」
「そうなんだ、まあ、風邪は治ったと思った時が一番危険だからね」
「肝に銘じておくわ……ところで椛はどうしたの?」
「……きっと多感な時期なんだよ」
「……そうなの?にとりが言うならそうなのだろうけど」

にとりの言葉に渋々納得する文。
にとりとしても、これ以上追及されるのは面倒だ。
話題を変えよう、そう思った時だった。

「―――ごめんくださーい!」

玄関の方から声が聞こえた。
誰だろう?そう思う2人を余所ににとりは、

「おっと、もう来たんだ」
「誰かを呼んだのか?」
「うん、永遠亭に往診を依頼したんだ」
「そうなの?わざわざありがとう、にとり」

閉鎖的な妖怪の山ではあるが、医者は別らしい。
朝早くから文の為に動いていたにとり。
そんなにとりの気遣いに、文は素直に感動した。
にとりに微笑みかける文、それに応えて微笑み返すにとり。
二人の様子を見た椛は慌てて、

「お、おい!早く出た方がいいんじゃないか!?」
「……そうだね。んじゃ、行ってくる」
「どうしたの椛?」
「いや、お客様を待たせる訳にもいかないじゃないですかっ!」

それにしてもこの椛、必死である。
だが、椛のことをよく知っているにとりは言う通りにすることにした。
元々、今回は椛に全て任せるつもりだった。
しかし、やっぱり親友が心配だったのだ。
椛と文、どちらを取るか考えた挙句、やはり文を優先したということだ。
そして、先ほど邪魔してしてしまい、申し訳ない気持ちも当然あった。

もう少しゆっくり来ていれば……面白かったのに。

にとりは、そんなことを考えながらも玄関へ向かい、ドアを開けた。
するとそこには、

「こんにちは、永遠亭から来ました、Dr.サナリンです」
「………………」

うさみみ、サングラス、マスクをかけた、緑髪の医者のような奴がいた。
そこまでなら許せたのだが、明らかに特徴のある蛇と蛙の髪飾りをつけている。
全身をしっかりと確認したにとりは、うん、と頷き。

バタンッ! ガチャッ!

力の限りドアを閉め、誰も入ってこれないようしっかりと鍵を掛けた。

どうでもいいけど鍵って雛の事を思い出させるよね。
雛元気かなぁ……何してるかなぁ……

そしてにとりは現実から目を背けることにした。
ややあってドアを叩く音が。
最初は手加減もあったのだが、だんだん激しくなってきた。
そろそろドアが壊れるかもしれない、その段階になってもまだドアを開けない。
するとドアの向こうから、

「ちょっ! どうして閉めるんですかっ!!」
「……いや、ちょっと予想してなかったから、つい」
「つい、じゃないですよっ!開けてください!!!」
「いや、心の準備が……」
「大丈夫ですよ、私お薬持ってきましたし」
「……お薬?」
「そうです、万能薬ですよ。頭痛から歯痛、腹痛にまで聞くお薬ですよ」
「はいはい、わかったから帰って、ねぇ早く帰ってよ」
「全然わかってないじゃないですか!」

なかなかにとりが戻ってこないことを不審に思った椛が現れた。
そして、にとりとドアの向こうのやり取りを見て尋ねた。

「どうかしたのか?」
「え? あ、どうやら人ちが―――」

ドンドンドン!!!

「うるさいよっ!!」
「……よくわからないが医者が来たんじゃないのか、早く入ってもらえよ」
「い、いや……それはちょっと……」
「とりあえず中に入ってもらおう、文様に迷惑をかけるわけにはいかないだろ」

いや、もっと迷惑かけるから。
にとりは心の中でそっと呟く。
しかし何の疑いも持っていない椛。
彼女の最優先は文であり、どんなに医者が怪しかろうが、どうみても医者じゃねーだろと思おうが、
彼女にとっては文を治してくれるのなら誰だっていいのだろう。
もういいや、とにとりはついに諦めた。
薬も持ってきてるって言ってるし、まぁ変なことは起きないだろう。
もし、何か問題が起きたとしても自分が何とかしよう、それが親友だ。
心の中で誓いを立てたにとりは、仕方なしにドアを開けた。
ドアの向こうにいた人物に驚いた椛だったが、一応医者の格好はしているので大丈夫だろう、そう思った椛は頭を下げて言った。

「わざわざお越しいただいてありがとうございます」
「いえ、お仕事ですから」
「そうですか、ああ、先生こちらです」

そのまま椛は医者とともに文の所へ向かった。
やはり気付かない椛、だがこれもにとりが予想した通りであった。
きっと椛は、文の事を考え過ぎて気付かないんだ。
そうに違いない。
でも、流石に文は気付くよ。
だって、文はこいつに毎日会っているもん。
今まで私は彼女を天然とか鈍感とか散々言ってきたけど、それは文が自分自身に対して鈍いのであって、他人を観察することに関しては幻想郷においても一二を争うほどだって分かってる。
そんな文が、まさか気付かないはずが―――

「遠いところをわざわざすいません」
「いえいえ、お気になさらず。それでは早速、診察しますね」

にとりは意識が若干飛びかけるのを感じた。
既の所で堪えたが、呆れというよりも笑いが込み上げてくるのに気付いた。
もう何かダメだろこれ。
にとりがそう思った時だった。

「ところで先生、どうしてそんな恰好をしているんですか」
「―――えっ!?」

文から突然の質問を受けてかたまる医者。
いや、普通聞かれるだろ……
むしろ考えていなかった彼女に、にとりは逆に感心する。
最大のピンチ到来に、救いの手を差し伸べたのは、意外にも質問した文だった。

「……ああ!感染すると大変だからですね。変な質問をしてすいませんでした」
「そ、そうですよ!!あはははは……」

危機一髪、という表情(実際には見えない)の医者。
謎が解けてホッとした様子の文。
診察開始は未だかと待つ椛。
静観するにとり。

やはり烏は、溜息をつく他なかった。





なんだかんだあって、診察が始まった。
医者は持ってきた鞄からある物を取り出す。
取りだされた物は、

「はい、ではこれで心音をみますので服を脱いでください」
「―――えっ!脱ぐんですか!?」
「いや……脱がなくてもいいだろ」
「そうだね、私もそう思う」
「脱がないとダメなんですっ!!!」

拳を握りしめ、叫ぶ医者。
圧倒された文と椛。
医者は自慢げにゆっくりと頷く。
にとりは立ち上がると医者を連れてそのまま部屋の外へ。
とてもスムーズな動きに、文たちは二人に声をかけることができない。

「……どうしたのかしら?」
「……さぁ?」

少しして、にとりと医者は戻ってきた。
医者は少し肩を落としている。
サングラスをかけているためによく見えないが、彼女が若干涙目であるようにも見える。
対するにとりは無表情だ。
しょんぼりした医者が診察を再開する。

「……やっぱり、服は脱がなくていいです」
「そうですか?」
「……河城、何を言ったんだ?」
「……ちょっとお話しただけだよ」
「そうか……」

小声で話す椛たち。
にとりの様子は普段通りに見えたが、付き合いの長い椛には分かった。
そして、この時のにとりには要注意だということも。
椛は当たり障りのない返答をし、再び診察の方に目を向ける。
にとりとのお話の所為か、その後はいたって普通の診察もどきが続く。
早苗は鞄から木の棒を取り出すと、

「それでは喉をみますから、あーんってしてください」
「……あーん」

その様子を見ていたにとりが、ふと、

「ところでさ」
「……ん?何だ」
「私さ、あの木の棒であーんってするの苦手」
「そうか……」
「うん、それだけ」

にとりは時々、こんな突拍子のない発言をする。
しかし、対応する椛も慣れたものがある。
そして、どうやら文も苦手のようで、検査が終わった後も涙目だ。
そんな文の様子を見た椛は、色々な感情が込み上げてくるのを感じた。
そして、文を抱きしめたい気持ちになったが、堪えた。
しかし、医者はそんな文の様子に気付いたのか、優しく抱きしめた。
優しい方だなぁ、と椛は思った。
一方、後で絞める、とにとりは思った。

そうして、何の意味もないお医者さんごっこが終わった。
満足気な医者、彼女は今迄の診察を振り返って、その結果を発表した。

「ただの風邪ですね」
「はいはい、じゃあ帰れ、今すぐ帰れ」
「……河城、何か今日荒れてるなぁ」
「……そうね、何かあったのかしら、主に雛さん関連で」
「なるほど……それなら頷けますね」

聞こえてるよ……
思いはしたが、口には出さない。
にとりは今日の自分がいかに報われなかったか、後で絶対雛に話そうと思った。
雛は今なにしてるかなぁ。
にとりの、本日何回目かわからない現実逃避がまた始まりかける。
そこで医者は思い出したように、また鞄から何かを取り出す。

「これ、お薬です」

何やら金色のパッケージに包まれた、豪華そうなお薬である。
意外とまともな薬が出てきたことに驚くにとり。
一応真面目だったんだ。
口には出さないが、素直に彼女の事を見直した。
医者から薬を受け取った文は、成分表示を見て、固まった。
そして、少し悩んでから、

「あのー、お願いがあるんですが……」
「何ですか?」
「実は私……粉薬飲めないんです……」

恥ずかしそうに俯きながら、文が言った。
文は椛の前では絶対に好き嫌いを見せないのだが、よほど粉薬が嫌いなのだろうか。
物珍しいものを見たと思いつつ、にとりは横目で椛を見た。
椛は文の方に手を伸ばして、プルプル震えている。
あんな文の姿を見て、椛が耐えられる訳がない。
もうやっちゃえよ、そう思いながら、今度は医者の方を―――

―――ガバッ!

「―――ふぇ?」

何か医者が文を押し倒していた。
勢いよく抱きついたためか、医者のオプションが色々外れてしまった。
うさみみなどがなくなった姿は、どう見ても、

「さ、早苗さん、どうしてここに!?」
「……や、山の巫女だと!!」

なんと医者の正体は早苗だった。
衝撃の事実に驚きを隠せない二人。
そんな二人を冷めた目で見るにとり。
そしてにとりは思い出す。
そういえば、こいつも文の事……

「……うふふふ、もう我慢できませんし、出来るわけないですし」
「ちょ、怖っ! だ、誰か助けてー!!!」
「巫女っ! そんなうらやま…もとい不届きなことさせるかっ!!」
「は、離れてください、風邪が移りますよ!!」
「文さんは、私の心配をしてくれるんですか? 大丈夫ですよ、風邪を治すには人に移せばいいんですから、私も幸せ、文さんも幸せでみんなハッピーですよ!!」
「ひぃぃいいぃぃい!!!」
「いい加減離れろ、巫女!!」

ギャーギャーと騒がしくなる室内。
もう、どうでもいいや。
にとりは、そっと部屋から退出する。

外はとてもいい天気で、思わず気持ちがよくなる。
どこに行こうかな、そう思うにとりの足は不思議と樹海の方に向いていた。
この後何が起こったのか、にとりは知らない。
しかし後日、椛と早苗が風邪をひいたという風の噂を聞くことになるだろう。
そしてその際、文に叱られることを、まだにとりは知らなかった。



全てを見ていた烏は、諦めたのか自らの巣へと戻って行った。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

No title

いつも小説読んでます!
貴様の小説を読むと快感が走るZE☆
もみあや成分をもっと下さい!
あとリンクしていいっすか?

No title

>KAOGAY様
いつも読んで下さりありがとうございます!
これからもどんどん書いていきますね。
リンクはどうぞご自由に、でもできればそちらともリンクをしたいのですが、URLを教えては頂けないでしょうか?

No title

あざ~っす!
これです↓
http://blogs.yahoo.co.jp/mayorit09
プロフィール

鹿山アトリ

Author:鹿山アトリ
もみあや大好き。あとにとひなも。
と言いつつ、雑食気味に色々書いていきます。

メールは
cocoa.rich(あっと)gmail.com
(あっと)を@に変えてください。

ツイッターはじめました。
ついった

基本的にリンクフリーですが、
相互リンクの場合でも、何か一言下さるとありがたいです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード