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ポッキーの日

やった、珍しく時期ネタに乗れた!
……おとなしく課題やってきます。

今回は、少し変わった試みをやってみました。
続きから、どうぞ。



守矢神社へと取材に行った自分を待っていたのは、珍しい一品だった。
棒状のビスケットをチョコレートでコーティングしたお菓子である。
どちらも幻想郷ではあまり見かけない、高級品である。
この二つを一緒にするなどと、誰が考え付いたのか。
その前に、どうしてこの品が守矢神社にあるのか。
これは異変なのだろうか。
考えに耽っている文に気付いた早苗は、

「紫さんが、外の世界から持ってきてくださったんです」

なるほど、と文は納得した。
外の世界から来た早苗は、このお菓子に馴染みがあるのだろう。

「食べてみますか?」
「―――えっ、何ですか?」
「はい、よろしければ召し上がってください」
「よろしいのですか?」

早苗には自分が物欲しそうに見ていたと思われたのか。
何と恥ずかしい話だろうか。
だが、早苗は自分にお菓子を差し出してくれた。
ならば頂くのが礼儀というものであろう。
そう思い、まず一口、


――美味しい。


他に言葉が浮かんでこない。
こんな時に何も言葉が浮かばないなんて、新聞記者失格である。
だが、それ以外の言葉が浮かんでこないのだ、仕方がない。

「どうですか?」
「―――美味しいですね」
「って、何で泣いてるんですかっ!」

早苗から言われて初めて自分が泣いていることに気づいた。
何ということだ、たかがお菓子で涙を流すなどとは。
いや、たかがお菓子などと侮ってはならない。
それ程の衝撃を受けたのだ、そう、仕方がない。

「仕方ないですよね……」
「落ち着いて下さい文さん!」



「取り乱して申し訳ありませんでした」
「いえ、お気になさらないでください」

少々自分を取り戻すのに時間がかかってしまったが、
もう一度言おう、仕方がない、と。
取材中にも関わらず、お菓子をつまむ手が止まらない。
何という魔力、だが私は新聞記者。このお菓子をレポートしなければならない。
そんなことを考えていた時だった。

「ところで文さん、このお菓子を使った面白い遊びがあるんですが」

突然、早苗が思いついたように話す。
面白いと言われれば、それは新聞のネタになるだろう。
だから私は聞かずにはいられなかった。

「是非お聞きしたいですね。どんな遊びなんですか?」

と。





私は現在、後悔している。
確かに興味があったのは否定しないし、その点を反省するつもりはない。
だが、このような結果になったことに後悔を抱かざるを得ない。
そう、早苗から持ち出されたゲームとはつまり、

「さあ、文さんはそっちをくわえていてくださいね」

嬉々として早苗は説明する。

「いや、早苗さん。私は趣旨を理解できないのですが」
「簡単ですよ。このお菓子を二人で食べるだけのゲームですから」
「全然、簡単じゃないですよっ!」
「ほらほら文さん、早くやりましょうよ」

それにしてもこの早苗、ノリノリである。
何というべきだろうか、断れない雰囲気になってきてしまった。
どうやって断ろうかと考えていた、その時である。

「やっぱり…私なんかとやりたくないですよね…」

わぁ、目に涙を溜めながらこっち見てるー。
自慢ではないが、私は他人の涙というものが苦手である。
それも、自分が原因ならば尚更である。
どう見ても演技ですが。

「あやや、別に嫌だという訳ではなくて、何だか取り返しがつかなくなりそうなので……」
「それなら、やりましょうよ!」

早っ!戻るの早いですよ。
……騙される私も私ですが。
もう観念するしかありませんね。
諦めの色を顔に出しながら私は答えた。

「仕方ありません。やりましょう」



棒をくわえて対峙する。
早苗と向かい合ってみて初めて気付いたんですが……
先ほどとは様子が全く異なるなぁ、
目つきが怖いですよー、何か鼻息が荒くないですか?
やっぱり判断間違いましたよね!私。

「それじゃあ文さん、東風谷早苗行かせていただきます!」

こちらはお菓子をくわえているため、言葉を発することができない。
だが、ここまで来てしまったならば、もう後戻りなどできるはずがない。
ならばこのゲームを楽しみ、記事にするしかないだろう。
といっても、初心者の私は経験者の早苗さんに手本を見せてもらうため、動いてはいけないのだが。
ゲームのルールとしては、お菓子を折らないように食べ切ればよいだけらしい。
簡単じゃないですか、と言ったのだが、どうやら非常に高度な技術が必要らしい。
ん?食べ切るんですよね、このお菓子を―――

ここで私は重大な事実に気付いてしまいました。
……うん。正直だめですね、これ。明らかに騙されました。
食べ切るためには、うん、そう。まぁ、そういうことですからね。
よし、やめましょう、って近っ!顔近いっ!
いろいろ考えていた所為で、ここまで来るのに気づきませんでした。

「……うふふふふ、もう少しで、うふふふ―――」

ひぃぃ!怖い、奇跡レベルで怖いですよ!もう余裕なんてありません。
逃げ出したい!でも腕握られてますよ!
思ったより早苗さんって力強っ!
うわぁ!どんどん近付いてくるー!











[早苗エンド]

早苗は確信した、自らの勝利を。
数日前から綿密に建てられた計画は完璧だった。
わざわざ、紫に土下座してまでお菓子を手に入れた甲斐があった。
珍しいものに目のない文なら必ず食いつく。
そう読んだ早苗は、ただ文とキスするため、この作戦を思いついたのだ。
作戦は成功、眼前には恥じらう(恐怖に歪む)文の顔。
目標まであと少し、近づく、息がかかる、そして、

ぽきっ。(お菓子が折れる音)

凍りつく空気。
距離を取る文。
近づく早苗。
さらに離れる文。

早苗は焦っていた。
お菓子が折れることを想定していなかったからである。
この日のためにどれほど練習してきたことか。
このような結果に終わってしまえば、協力してくれた二人の神様に申し訳が立たない。
こうなれば、作戦はなかったことに、だ。

「あやや…早苗さん、どうかしましたか?」

不安そうに怯える文、その顔も非常にそそられる。
だから私は神経を研ぎ澄ませ、手を合せ、言った。

「いただきます」

そして文に襲い掛かった。








「おや?どうしたんだい早苗?」
「あーうー、顔に手の跡がついてるよー」
帰宅した神様たちは、早苗の様子がおかしいことに気付いた。
「別に…なんでもありませんよ……」




















[早苗じゃないエンド]

お菓子を食べ進んだ早苗は、硬く冷たい感触を味わった。
目を開けて最後まで行くのは良くない、
そう思っていたために目を閉じてしまったのが悪かった。

早苗は眼を開けて前を見た。
最初に見えたものは壁である。
早苗の予想では、顔を真っ赤にして恥じらっている文の顔が見えるはずであったのだ。
ならば、この壁は文なのだろうか。
そんなはずはない、そう思いながら早苗は壁から離れた。
離れてから、早苗が壁だと思っていたものが太刀だということに気付いた。
そして、それを持っている者は早苗も良く知っている者だった。
次の瞬間、早苗は壁へと吹っ飛ばされた。



思わず目を閉じてしまったが、いつまで経ってもその瞬間は訪れなかった。
恐る恐る目を開けてみると、そこにいたのは、

「――も、椛!どうしてここにいるんですか?」
「河城が呼んで来いと言っていたので、呼びに来ました」

椛が普段と変わらない様子で答えた。
思わず気が抜けてしまった私だったが、
椛は気にしない。

「早く行きましょう文様」

椛はそう言うと、私の手を握って外へと駆け出した。
私は何か忘れているものがあるのではと思いながらも、
椛に強引に連れ出されてしまった。



椛が文の手を取り外へ飛び出すのはとても速かったので、
それを早苗が止めることはできなかった。
早苗は手を伸ばした状態で止まったまま、
二人の神様が帰ってくるまで動くことはなかった。







「全く、文様は危機意識が足りません」
「すいません……」
「何かあったら、どうするんですか!」
「ごめんなさい……でも、うれしかったわ」
「はい?」
「椛に助けてほしいって思ったら、その通りになったもの」
「―――っ」
「どうかしたの?」
「(やばい可愛いやばい可愛すぎるやばいどうする私)」
「だから……ありがとう椛!!」

文の満面の笑みを直視してしまった椛。
彼女がそれを見てどうなるのかなど、わかりきったことだ。
故に彼女がそのまま落下していくのは当然であり、


「も、もみじー!」

落下する椛の顔は、とっても爽やかだったそうだ。

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