FC2ブログ

妖夢の悩み事(前)

予定とはちょっと違う感じになりますが、更新です。
というのも、今回は少し長くなってしまったので分割する必要がありそうだったんです…
続きはきっと明日更新できます。たぶん。

友人T(仮)も大変喜んでくれたようで、
「なん…だと…?」
って褒めてくれました。ありがとう友人(仮)T、あたい東京に行ってもがんばるよ。


HI3B0026.jpg

…謎の袋、中身は不明です。

続きから、「妖夢の悩み事(前)」です。
冥界、白玉楼へと続く長い階段の始まり。
その場所に、私、ルナサ・プリズムリバーはいた。
こんな所で何をしているのか、と思われるだろう。
というか、先程聞かれたのだが……


事の起こりは、今朝のことである。
妹たちが家から出て行った後、私は一人悠々とヴァイオリンを弾いていた。
するとそこに、一体の幽霊が家を訪れたのである。
幽霊が言うことには、何でも妖夢が相談したいことがあるらしい。
妖夢とはそれなりに親しい友人でもあった私は二つ返事で引き受けた。
そして今に至るということだ。

「しかし、遅いな……」

時間には厳しいはずの彼女が、こうも遅れてくるということは、
逆に何かあったのではないかと心配になってくる。
何か厄介事に巻き込まれているのだろうか……

「そう……例えば、幽々子に無理難題を押しつけられたとか……」

あり得る話である。
幽々子は妖夢を困らせて楽しむことが大好きなのだ。
好きな子ほどいじめたいというやつだろうか、私には理解しかねる。
例えば、私が妹たちをいじめて楽しいか、と聞かれれば。
……リスクの方が大きそうだ。というよりも、私が二人にいじめられているんだが。
あの二人は、私のことが好きなのか?
少し考え、逆に嫌われてないなら良しとしよう、と判断。
発想の逆転は重要である。
などという事を考えているところに、ようやく妖夢の姿が現れた。
色々と考えてしまっていた私は少し安堵する。

「おはようございます、ルナサさん」
「ああ、おはよう妖夢」

妖夢は普段通りだ、予想は外れたということか……
そんなことよりも、妖夢が私を呼び出したという事実の方が気になっていたので、
私は早速話を切り出した。

「ところで妖夢。私に何の用なんだい?」
「あ、はい。実は折り入って相談がありまして……」
「……相談?」

特段驚くようなことでもない。
普段から妖夢は私に様々な相談をする。
幽々子があんなことをさせる、幽々子がこんなことを言った、
幽々子が……、などと幽々子関連だ。
しかし、妖夢は初めから私に相談してきた訳ではない。
妖夢は何でも自分で貯め込んでしまう癖があるのだ。
そんな妖夢を見かねた幽々子は、私に妖夢の相談に乗ってほしいと頼んできた。
それから、私は妖夢とよく話をすることにした。
私にとっては妹が一人増えたようなものだ。
そして、妹たちの面倒を見てきた私にとって妖夢なんて可愛いものである。
……あの二人は妖夢を見習え。そう思ったことが何度あったことか。
とにかく、そんなこともあって妖夢と親しくなった私に、
色々相談を持ちかけてくれるようになったということだ。
妖夢はいつも通り、少し考えてから話し出した。

「私、最近少しおかしいんです」
「おかしい?」
「はい……あのですね、最近よく考え事をするんですが、
 考え出してしまうと仕事が手に付かないんです」
「ふーん、考え事ね……」
「私はどうすればいいんですか、ルナサさん?」

どうすればいい?などと聞かれても、
まずは、何を考えているのか聞かなければなるまい。
だから私は問うた。

「それで、どんな考え事なのかな?」
「はい、それはですね……」

妖夢は少し考える素振りをし、
そして若干恥じらいながら言った。

「そのですね……ある方のことを考えてしまうんです」

妖夢はどうしてか分からない、といった表情でこちらを見る。
私は少し考え、気づき、そして笑った。
ニヤニヤなどではなく、声に出して笑った。
私の様子を見てか、妖夢は少し驚いたが、やがて怒り始めた。

「なんで笑うんですか!こっちは真面目に困ってるんですよっ!!」
「―――はははっ!!いやー、すまない。
 妖夢もお年頃なんだなぁと思っただけだよ」
「……お年頃?」
「そうだよ妖夢、その人の事を考えたら胸が苦しくなったり、
 嬉しくなったりするんじゃないのかな」
「……そう、ですね」

妖夢は、どうして分かったのだろう、とでも言いたげな顔をしている。
確信を得た私は、

「つまりだ、妖夢はそうなってしまうから考えたくないけど、ついつい考えてしまうわけだね」
「そうです、よく分かりますね」
「それはそうさ、私は妖夢よりも長生きだしな」
「それは分かっていますから、原因を早く教えて下さい」
「そうだな、妖夢もお年頃だし教えておくかな」

勿体ぶるな、という顔で睨まれる。
しかし、私はこれ程面白い相談だとは思ってもみなかった。
精々幽々子関連だと思ってしまっていた。
慌てるな、と前置きし、

「妖夢、それはだね……」
「はっ、はい!」
「それはきっと、初恋だよ」
「はつ……こい……?」

言われた意味が分からない、という顔から急に真っ赤になり、

「―――は、初恋ですか!?」
「うん、おそらく」
「初恋って、あの……!」
「誰かを好きになる、ってことじゃないかな?」
「―――っ!!!」

慌てふためく妖夢を、ニヤニヤしながら見る私。
……すごく面白い。
幽々子が妖夢をいじめたくなる気持ちが少しわかった気がする。
少ししてから妖夢はようやく落ち着きを取り戻した。

「落ち着いたかい?」
「は、はい!私は落ち着いています!」
「若干の虚偽報告を見逃すけど、妖夢はどうしたい訳かな?」
「どうする、とは……?」
「好きな人には告白するのが普通さ、だから告白するのかなと思っただけさ」
「―――こここ、告白!?」
「しないの?告白」
「……すいません、告白って何ですか?」
「んぁ?告白を……知らないのかい?」

どうやら恋愛事には全くの無関心だったみたいだ。
仕方なしに私は妖夢に恋愛とは何たるかを教えることにした。



ルナサ姉さんの恋愛教室が進むほど、妖夢は真っ赤になっていった。
そして、終了時には完熟トマトが出来上がっていた。
更には肩で息をするほど消耗している。
……疲れるような所はなかったはずだけど、
どうやら妖夢には刺激が強かったみたいですね。

「―――と、まぁ、こんなところかな」
「……あ、ありがとうございます」
「妖夢……大丈夫?」

そう言って顔を覗き込む。
妖夢が私の行動に気付く、そして、

「―――う、うわぁ!!!」

あまりにも近過ぎたのか、驚いて顔を離す。

「妖夢……そこまで驚かれると、ショックなんだけど」
「す、すいません!でも大丈夫です!!!」

些か不安ではあるが、本人が大丈夫だと言っているから大丈夫だろう。
妖夢は驚き過ぎたのか、心臓を抑えている。
ここで、あることが気になった。
妖夢は誰のことを考えているのだろうか、ということだ。
まぁ、予想はつく訳だが、とりあえず聞いてみることにした。

「ところで妖夢、誰かの事、って誰のことかな」
「……ふぇっ!だ、誰の事って!?」
「いや、まあ、気になるからさ、特徴だけでいいから教えてほしいなぁ」
「い、いえ、それは、その、ですね……」
「ルナサ姉さん頑張ったから教えてほしいなぁ」

妖夢は考えて、考えて、よく考えている。
しかし、ここまで言われたら教えない訳がないだろう。
私だって頑張ったんだ、知りたい!
やがて、妖夢は口を開いた。

「……その方はですね、私のことをよく考えてくださるんです」
「ふむふむ、それから?」
「それでですね……すごく優しくて、包容力のある方なんです」
「へぇ……」
「気づいたらその方のことを目で追ってしまったりして、
 四六時中その方のことを考えてしまっていたという訳です…」
「なるほど……教えてくれてありがとう妖夢」

話し終わった時の妖夢の顔は本日最高の赤色だった。
しかし、私はここで一つ確信に至った。
妖夢の想い人のことである。
特徴を鑑みて、相手は……



妖夢と別れた後、私は白玉楼を訪れた。
私は到着すると、すぐに幽々子に先ほどの事を報告した。

「―――。というわけだ」
「……うふふふふ、妖夢ったら仕方のない子ねぇ」

口では何か言っているが、顔の緩みっぷりは半端ない。
幽々子とは長い付き合いがあるが、このような顔は見たことがない。
呆れを通り越して、逆に恐怖すら覚える。

「……幽々子、流石に怖い」
「あら~、ごめんなさいルナサ」
「まぁ、妖夢の想い人は幽々子だった、というわけだな」
「うふふ、最近の妖夢はどこかおかしかったけど、そういう事だったみたいね」

やはり、幽々子も妖夢の只ならぬ様子に気付いていたようだ。
話では、庭の植木を整えるはずが、真っ二つにしていた、
包丁でまな板ごと食材をたたき切っていたとか、
明らかに様子がおかしかったそうだ。
妖夢のから回りっぷりを見かねた幽々子は、
それとなく私に相談するように促したらしかった。
とりあえず、妖夢のことを気にしている私は、尋ねた。

「どうするの幽々子?」
「どうする、って?」
「妖夢のことだよ」
「そうねぇ……」

幽々子は物凄くにやけた顔から、急に真剣な顔になり、

「とりあえず様子見ね」
「そうなのか?」

驚いた、幽々子のことだから一気に畳み掛けるかと思っていた。
そんな私の様子を見て、幽々子は語り出した。

「別に今動くのも良いけど……」
「けど……何だ?」
「今の妖夢を見守るのを優先するわ」
「今の……?」
「ええ、妖夢は今ようやく自分の気持ちに気付いたのよ、
 きっと今、もの凄く悩んでいるはずよ」

確かに、私と別れる時の妖夢はとても悩んでいた。
告白すべきかどうか、失敗したらどうしよう、とか色々考えていた。
しかし幽々子は妖夢に力を貸さず、自分で解決させようとしているのか。
私は幽々子の親心に感心した。

「困っている妖夢……想像するだけでゾクゾクするわ~」
「まてこら」

前言撤回。
コイツ、楽しんでいるだけだ。
妖夢に想い人ができた事を聞いた時は、
「別に相手を殺しても構わないわよね?」、といわんばかりの様子だったが、
相手が自分だとわかれば、すぐこれだ。何この余裕?
私は、これからの妖夢の苦労を想像し、そっと心で涙した。



しばらく幽々子と雑談に興じているところに妖夢が帰宅した。
部屋に入り私の姿を確認するや否や、物凄いリアクションをとったが。
幽々子に全部話したとは言えない私はとりあえず、何も言っていないよとフォローしたのだった。
妖夢は納得したような、してないような顔だったが、一応納得はしたようだった。
そんな妖夢に向かって幽々子は、

「ねぇ妖夢~、私お腹すいた~」
「は、はい只今!」
「ルナサも食べていきなさい」
「ん?私は別に……」

妹達は、今日家に帰ってこないと言っていた。
しかし、ここでわざわざ厄介になることはないだろう、そう思っただけだ。
だが、妖夢は慌てて、

「いえ!ルナサさん、是非食べていってください、今日のお礼もありますので!」
「いや……別に気にしてもらう程のことはしてないけどなぁ」
「妖夢~、ルナサに何かしてもらったのかしら~?」
「ゆ、幽々子様!何でもありません!」

妖夢またしても真っ赤である。
この子は嘘がつけないんだなぁ、と幽々子と二人でニヤニヤする。
私たちの様子を訝しみつつ、では、と残して部屋を後にする。
私は、すぐさま幽々子を見た。
幽々子はプルプル震えながら、呟く。

「やっぱり最高ね、妖夢は……!」

その顔は、もはや表現することはできず、
ただ一言述べるならば、カリスマ消滅。
もう私は友人を直視できない。
妖夢が料理を運んでくるのをひたすら願った。
そんな私に対して、

「あら、やっぱりお家に帰りたかったの?」
「そういう訳でもないけど……」
「なら、食べていきなさい、妖夢があんなに言ってくれてるのよ~」

幽々子は笑っているが、目が笑っていない。
幽々子の、「まさか妖夢の気持ちを無碍にするつもりなのか?」という無言の圧力が私を襲う。
圧倒的カリスマの前に動くことのできない私。
冷汗が止まらない、悪寒が酷い、何これ、風邪かしら?助けて八意先生!
切り替え早いなこんちくしょう!とか思いつつ、
私は、料理が運ばれてくるまでずっと心の中で叫んでいた。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

鹿山アトリ

Author:鹿山アトリ
もみあや大好き。あとにとひなも。
と言いつつ、雑食気味に色々書いていきます。

メールは
cocoa.rich(あっと)gmail.com
(あっと)を@に変えてください。

ツイッターはじめました。
ついった

基本的にリンクフリーですが、
相互リンクの場合でも、何か一言下さるとありがたいです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード